配膳ロボットの仕組みってどうなっているの?
配膳ロボットは自律走行するものがほとんどですが、その仕組みにはいくつか種類があります。
ここでは多くの配膳ロボットに搭載されているセンサーである「LiDAR」、ナビゲーション方式として「タグナビゲーション式」「SLAM」の3つをご紹介します。
物をよける仕組み 障害物回避センサーLiDAR
出典:日本システムプロジェクト配膳ロボットが自動運転する仕組みのひとつであるLiDARは、「Light Detection and Ranging(光による検知と測距)」の略称で、レーザー光を使用したセンサー技術のひとつです。「ライダー」もしくは「レーザーセンサー」と呼ばれます。
レーザー光を対象物に照射してその散乱光や反射光を測定することで、対象物までの距離を測ったり、性質を特定したりします。そのため、配膳ロボットに搭載されていることが多いセンサーです。配膳ロボットでは最初にLiDARを使って店舗内の環境地図を作成し、店内レイアウトを読み込む作業を行います。
この仕組みを利用することによって、店内のテーブルや椅子、お客様などを感知して障害物をよけることが可能になります。
自律走行を行う配膳ロボットの「目」とも言えるLiDARですが、あくまでもセンサー技術のひとつなので、LiDAR式単体ではなく「LiDAR搭載タグナビゲーション式」や「LiDAR SLAM」のように説明されます。配膳ロボットの中にはLiDAR+3Dカメラを搭載しているものもあります。
自動運転の仕組み① タグナビゲーション式
出典:日本システムプロジェクト配膳ロボットの仕組みとして挙げられる「タグナビゲーション式」は、店内に自律走行の目印となるタグを設置するというものです。
配膳ロボットが進むルート上の天井に位置マーカーを貼り付け、それをロボット上部に取り付けられた赤外線センサーが読み取ることで店内を走行します。従来のAGVで利用されていた床面のガイドテープやマーカーの埋め込みではないため、大きな工事は不要。簡単なマーカー設置工事で利用できます。
ただし天井にマーカーを設置する必要があるため、天井がフラットな形状かつ天井高が4mまでという制限があります。またマーカーの設置間隔はおよそ80cmが推奨されています。
フルレーダータイプに比べて軽微な誤作動が少なく安定した走行が可能なため、今すぐに利用したい、という場合にはこちらがおすすめです。
自動運転の仕組み② SLAM
出典:ロボスタ配膳ロボットの仕組みとして聞くことのあるSLAMは、「Simultaneous Localization and Mapping」の略称で、自分の位置を特定することと、環境地図の作成を同時に行う技術のことです。「スラム」と読みます。
SLAMを実現するためには周囲の状況をセンサーで把握する必要があります。センサーには赤外線センサーや超音波センサーなどがありますが、配膳ロボットではLiDARを使われることがほとんどです。これは、「LiDAR SLAM」と言われています。対象となる障害物までの距離を正確に測定できますが、導入する価格が少々高くなります。
この仕組みを利用した配膳ロボットを導入する場合、天井や床面にマーカーを設置するという事前の工事は必要ありません。店舗内のテーブルや椅子といった什器の配置を自動的に環境地図として構築し、移動量を推定することで、ガイドなしで最適なルートを自律走行します。
ただし、SLAMで行われる移動量の推定には軽微な誤差が蓄積されるため、作成された地図がゆがみ、元の場所に戻れなくなるというリスクが指摘されています。